研究開発が目指すBeyond 5Gの社会
メディア編
Beyond 5Gで広がるメディアの世界
2030年頃にはBeyond 5Gの実現が見込まれ、ユーザーは、それぞれのライフスタイルに応じて多様なサービスやコンテンツを享受できるようになるでしょう。逆にユーザーからもリッチなサービスやコンテンツを制約なしに配信できるようになると考えられます。端末・センサー技術やサービスアプリケーションの進展により、サイバーフィジカルシステム(CPS)やデジタルツイン、メタバースのようなサービスと連携した配信も考えられます。さらに、仮想空間でのメディアコンテンツだけでなく、現実空間の制約を超えるサービスの提供も期待できます。
こうしたメディアに関して、Beyond 5G(B5G)が与える影響としては次のようなものが予想されます。同時に、AIその他の関連技術の活用も一層重要になると考えられます。
①アクセス性のさらなる向上
誰でも、いつでも、どこでも、どのような端末でもデジタルコンテンツへのアクセスが可能。アクセスの敷居が低くなり各ユーザーが自身のコンテンツを世界中に配信し、グローバルなマルチメディアアプリケーションの開発者コミュニティを形成。
②没入感の向上
ホログラフィックコミュニケーションやインターネットの身体所有体験を含むさらなる没入型メディア体験。
③個別化の進展
個々のユーザー、視聴環境、視聴デバイスに適応したカスタマイズを容易に。
それぞれの業界の現状と取組
映像等の配信
地上波放送・衛星放送・ケーブル放送などのほか、インターネットを介した映像配信などの形態での提供が行われ、高精細化技術も進んでいます。さらに、見逃し配信や同時配信も広まり、時間や場所、視聴形態にかかわらずコンテンツにアクセスできるための取組が進められています。また、360度映像などを使った体感型コンテンツも提供されています。今後は、ウェアラブルデバイスなどにより、より多彩な体験型コンテンツの実現が予想されます。
出版・新聞
出版・新聞の世界では既に紙媒体のほか、スマートフォンやパソコンなどでも見られるように、コンテンツへのアクセス手段が多様化しており、例えば電子コミック市場は紙媒体市場規模を超え、広告もデジタルへの移行が進んでいます。今後は、さらにサービス・コンテンツの多様化や充実が進むと共に、制作過程における新技術の適切な活用が求められます。
ソーシャルメディア
SNS、ブログ、動画配信サービスなどのソーシャルメディアは、手軽に双方向のやりとりができる新しいインフラ情報源として認知され、個人の動画配信なども一般化しています。今後も、デジタルプラットフォームを中心とするSNSメディアの発展が進み、高い臨場感の共有やリアルタイム性の向上等、コミュニケーションの仕方に変化をもたらすことが考えられます。
今後の課題
B5Gの実現・普及によって、コンテンツが、多様かつリッチになることに加え、アプリケーションやコンテンツの流行の変化もさらに流動的になることが予想されます。その中で、効率的で安全・安心にコンテンツを提供・享受するために、ネットワークやデータ処理基盤のセキュリティ、AIの活用等が課題との意見もあります。