B5Gの社会

物流・運輸業界はこう変わる!

物流・運輸は多様な業種を含んでいます。ここでは「倉庫・物流」、「航空」、「鉄道」について見ていきたいと思います。

1.倉庫・物流

倉庫・物流産業により、工業製品や原材料、生鮮・加工食品、廃棄物等、さまざまな物資が保管・貯蔵され、必要に応じて必要な場所へ運ばれることにより、国民生活や産業生産活動が効率的に維持されています。

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業界の課題

現在の物流産業が直面する課題として、人口減少や労働力不足への対応、災害の激甚化・頻発化と国民の安全・安心の確保、デジタル化・イノベーションの強化、地球環境の持続可能性の確保やSDGsへの対応が挙げられます。

求められる将来像、期待されるソリューション

課題をふまえ、次のような取り組みが行われています。
・物流DX(デジタルトランスフォーメーション)や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化=簡素で滑らかな物流の実現
・労働力不足対策と物流構造改革の推進=担い手にやさしい物流の実現
・強靱で持続可能な物流ネットワークの構築=強くてしなやかな物流の実現
これらは、2025年度までの施策ですが、2030年代においてもBeyond 5Gがもたらす技術革新等により、より高度な物流サービスが期待されると考えられます。特に、物流デジタル化、自動化・機械化、物流標準化、データ基盤の構築、ラストワンマイル配送、物流ネットワークの構築では、Beyond 5Gによる革新的な通信およびネットワーク技術を用いたさまざまな活用例が想定されます。

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課題解決を実現可能にするBeyond 5Gの技術

Beyond 5Gを活かすことで実現が期待される活用例と、Beyond 5Gに求められる能力は次の通りです。
①倉庫・物流におけるBeyond 5G IoTの利用
超低消費電力
超多数同時接続
②倉庫・物流施設内でのBeyond 5Gローカル通信・ネットワークを用いた、機械やロボット等の自動運転
超低遅延、時刻同期精度、超安全・信頼性
測位・センシング
③ドローン、コネクティッドカーまたは船を利用した物流の効率化、省力化、高速化
超低遅延、時刻同期精度、超安全・信頼性
測位・センシング
④海上ルートを含むNTN(Non-Terrestrial Network=非地上系ネットワーク)等の利用による全地球的カバレッジ
カバレッジ拡張
⑤ビッグデータとAIを使った物流の最適化、Beyond 5Gクラウドやデジタルツインの応用
超高速・大容量
機械学習および人工知能
クラウド化、ネットワーク仮想化・スライス、エッジコンピューティング等

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2.航空

新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって旅客数が減った時期もありましたが、グローバルな経済成長を背景に航空旅客数は拡大傾向にあります。

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業界の課題

航空需要の拡大によって、混雑空港や混雑空域での高密度運航、空港までのアクセスの改善、諸手続きの時間短縮、パイロットなどの人材不足への対応が求められています。また、求められるサービスが多様化しており、旅客それぞれに適した空港・航空機内でのサービス向上が求められています。さらに、脱炭素社会の実現に向けた航空機の省燃費機材の導入や軽量化の推進、航空管制の高度化などが求められています。

求められる将来像、期待されるソリューション

グローバルに増加する需要と市場の拡大に対して、技術革新による効率化、サービスの発展が望まれ、次のような将来像が挙げられています。
・安全で安心、便利で快適な空の旅を提供する
・燃費向上、脱炭素化を実現する
・航空管制を高度化し、高密度な運航を実現する
・ドローンや空飛ぶクルマによる新しい航空サービスの導入

課題解決を実現可能にするBeyond 5Gの技術

Beyond 5Gを活かすことで実現が期待される活用例は次の通りです。
①安全でストレスフリーな移動
②快適な航空機内サービス
③地上業務の支援
④燃費向上・脱炭素化
⑤操縦アシスト・運航管理
⑥高密度運航の実現
⑦ドローン、空飛ぶクルマ
⑧超音速航空機

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3.鉄道

人口減少や働き方の変化、ネット社会の進展、自動運転技術の実用化等のために鉄道による移動ニーズが縮小、既存の鉄道事業は利益縮小の可能性が高いと予想されています。

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業界の課題

鉄道を中心とした輸送サービスを質的に変化させ、進化とともに成長させていくことが課題です。また、環境にやさしい鉄道貨物輸送へのシフト、デジタル技術を活用した既存の鉄道事業の強化も必要です。人の生活における「豊かさ」を起点とした社会への新たな価値創造が必要といえるでしょう。
・事故ゼロで安全安心な鉄道輸送
・ドライバレス運転の実現と障害時のダイヤ早期回復
・運輸サービスのさらなる魅力向上と最適かつ快適でシームレスな移動
・一人ひとりに最適化されたすべての人が心ゆたかに生活できるまち
が求められます。

求められる将来像、期待されるソリューション

2030年の鉄道業界に、「安全安心の取組」、「自動化」、「運輸サービスの魅力向上」、「分散型のまちづくり」が期待されます。

課題解決を実現可能にするBeyond 5Gの技術

Beyond 5Gを活かすことで実現が期待される活用例は次の通りです。
①ドライバレス運転
②自動メンテナンス
③ロボットによる見守り
④MaaS(Mobility as a Service=サービスとしての移動)とのシームレスな連携
⑤空間自在な暮らし

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